ちょっと一息 by山本心理相談室
臨床心理士になるための訓練を受けていく中で、”クライアントから癒しを得るなんて搾取だ!”みたいなことを教授に言われたけど、そんな事ないと思うと反論したことあるなぁ。癒しを目的にカウンセリングをすれば搾取だけど、面談の過程や結果として振り返ってみればお互いに癒されていたと言うのはむしろカウンセリングの一つの成果ではないか...と思います。治療とはいえ人間関係である限り、一方的な関係なんてない気がします。(まぁ、それと同じくらいクライエントから搾取しないという信念・原則は常に持っていないと本当のカウンセリングではないですけど。)
生き抜くためなら、薬であれ、カウンセリングであれ、健康法であれ、使えるものは何だって使っていこうというのが私の信条であり、治療のコンセプト。それはクライアントとの関係も選択肢に入っています。ただし、いい関係であれ、そうでない関係であれ、どちらにせよ使っていけるようになってこそ本当の治療。いい関係だけ活用するのは誰にでもできる。それが例えひっくり返ったとしてもゆらぐことなく、そのことについて開けたディスカッションをできてこそ本物のカウンセリングだろう。
カウンセリングは恋愛に似てるとか言っていた医者がいて、学生の頃は「何言ってんだろうなこのおっさん…危ない人かよ」って思って聞いていたけど、今なら言わんとしていた意味が分かる気がする。”恋愛”という言葉のチョイスはロマンチックを通り越して誤解を受けそうだからいただけないけど、”いい感情も悪い感情もひっくるめての関係”という意味ではあながち間違ってはいない。